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紙の月のあらすじ(ネタバレあり)

バブル崩壊後の1994年。契約社員として銀行で働く主婦・梅澤梨花は、夫と何不自由ない生活を送っていましたが、子どももできず夫婦関係に不満を感じていました。

ある時、顧客の孫である大学生の青年・光太と出会い、二人は関係を持つように。そこから、梨花のなかで少しずつ歯車が回り始めます。

ある日、外回りの合間に行ったデパートで以前は買うこともなかったような高級化粧品を選ぶ梨花。手持ちが足りず困っていたところ、顧客から預かった預金を「後で返せばいい」と使ってしまいます。これをきっかけに、梨花の金銭感覚は徐々に狂ってゆき、光太との逢瀬を重ねるように罪を重ね、ついには巨額横領事件へ。自由と万能感を手に入れた梨花が行き着いた先とは–——

紙の月のキャスト

梅澤梨花 | 宮沢りえ
平林光太 | 池松壮亮
相川恵子 | 大島優子
隅より子 | 小林聡美
梅澤正文 | 田辺誠一
井上佑司 | 近藤芳正
平林孝三 | 石橋蓮司

本作で7年ぶりの映画主演を務めた宮沢りえ(『たそがれ清兵衛』『オリヲン座からの招待状』)は、第27回東京国際映画祭で最優秀女優賞、第38回日本アカデミー賞の最優秀女優賞を受賞。年下の青年と不倫の末に巨額横領事件を起こす主婦という大それた役柄ですが、女性が共感できるリアルな女性像として演じています。相手役を演じたのは若手実力派、池松壮亮(『セトウツミ』『映画 夜空はいつも最高密度の青色だ』『宮本から君へ』)。同年の日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞しました。また、AKB48を卒業した大島優子が主人公の同僚役を好演し、女優として高く評価されたことも話題になりました。

紙の月の感想と見どころ

この作品の宮沢りえは、とにかく綺麗で見惚れてしまいます。

銀行の預金を横領するという罪を犯しているにも関わらず、自由を手に入れようとする女性のしなやかな、けれども刹那的な美しさを感じてしまう不思議。そして、そこに何か、誰しもが本当はそこに行ってみたいと思うような「共感」があるのです。

主人公・梨花は退屈で物足りなかった妻としての生活から、光太と出会うことによって、スイッチが入ったというか、タガが外れてしまい、止めることのできない明るい世界へと逃走を図ります。この逃走劇がなんとも美しい!

やっていることは犯罪なのでそれを肯定はしませんが、欲しいものを手に入れるために走る姿が、なぜかとても尊く見えてしまうのです。

これは、クライマックスで決定的なシーンがあるので、ぜひ見ていただきたいです。

このシーンを撮るために監督はこの映画を作ったのではないかと思うほど、美しく印象的なシーン。

「一緒にいきますか?」

梨花のこの言葉に揺るぎない正しさと感じてしまうのは、彼女が自分の行きたい場所へまっすぐに突き進んでいるからでしょうか。

もしかしたら、私たちは梨花に憧れているのかもしれません。

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